「あっれ〜世良今日早いじゃん?」

ロッカールームで丹波はチームメイトで一番弄りがいがある世良に声をかけた
丹波曰く世良は練習終わりはろくに着替えもせず、想い人の堺にしつこく話しかけているのが世良なのだ

だが今日は既に着替え終わり、カバンを持ち「お先に失礼しますっ」と頭を下げた状態だったのだ

「今日は用があるんです!失礼しまっス!!」

嬉々とした表情で去っていった世良を見て丹波が次に見たのは堺だった

「あっれ〜?堺は行かないでいいの〜?」

「……は?あいつはあいつの用が有るんだろ?」

相変わらずのしかめた顔で答え着替えを続ける堺、それを面白くないと思った丹波はいつもの様にニコッと笑った

「ほーほー世良君は堂々と浮気ですか…若いねぇ」

堺のこめかみに青筋がピクッと浮かぶ

「堺〜どうすんの〜?ヤバイんじゃないの〜?」

そう言い肘で堺を突いていたが次の瞬間丹波の腕に手が伸び、そこには真剣な目をした堺が丹波を見つめていた



31歳と22歳と17歳と16歳と
(GK×黒バス)




地域の人達がよく集まる場所のひとつにスポーツセンターと言うものがある
老若男女問わず“スポセン”という愛称で呼ばれる地域に密着した施設だ

キュッと床を鳴らし体育館に足を踏み入れたのは先程までプロの選手として練習をしていた世良恭平本人だ
そして世良は、目の前のバスケットゴールに綺麗にダンクを決めた青年にいつもの様に声をかけた

「よっす!孝輔今日こそ勝つからな……」

「わ…世良兄ぃ来てたのかよ、びっくりした〜」

青年の名前は若松孝輔、青年と呼ぶのにはまだ年齢が足りないかも知れないがバスケットで鍛えられた体は190センチを越え屈強な体をしている
周りからは世良が子供の様に見えるくらいの身長差だ。しかし若松の無邪気な笑顔はまだ彼が高校生だという事を伝えていた

世良と若松が知り合ったきっかけは言うまでもなくまだ若松が小学生の頃にこのスポセンで出会ったのだ
もともと近所の顔見知りだったという事もあり、またお互いにスポーツマンとして仲をどんどん深めていきいつの間にか兄弟の様な関係になっていたのだ

「ってか世良兄ぃはこんな所でバスケとかしていいの?」

一応プロのサッカー選手だよ?と付けたし若松はバスケットボールを世良に向けて投げた

「違うスポーツでサッカーのセンスを磨くんだよ!」

満面の笑みで放ったボールは綺麗な弧を描き、リングに掠りもせず手前に落ちた

「………相変わらず下手くそだな世良兄ぃは…」

と、落ちたボールを拾い綺麗なシュートフォームを見せつける若松に世良は対抗心を剥き出しにボールを奪いにいった


***

「ギャハー!なんだあれ!世良まじで浮気かよ…なぁ?堺?」

コートを観客席から見つめ、手刷りから顔を出していた丹波は観客席で貧乏揺すりを腹立った様子で続ける堺に問い掛けた

「ちっ…準備運動もしねぇで何バスケなんてやってんだよ…第一こんなお遊びで怪我したらどうすんだよ…」

「ストーップストーップ!堺…怒る所が違うだろうが!!」

堺がロッカールームで丹波の腕を掴み言った一言はこうだった

『ちょっと俺に付き合ってくれよ────…』

その言葉の意味を持ち前の理解力で理解した丹波は堺と世良の後をつけ、地元のスポセンにたどり着いた。という訳だったのだが…

「つかあの子どう見ても世良よりデケェじゃん!しかも短髪だしあの雰囲気どっかの誰かさんに似てるよね〜」

と丹波は堺に言うが堺は苛々しているせいか返事を返してこない

やれやれ、と丹波は想いながら堺の隣に腰を下ろす

「堺どうすんの?これ立派に浮気現場じゃない?」

「知らねぇよあいつだって若いんだからそんくれぇ……」

少しうつ向いた堺を見ながら、これもしかしたらすんげぇヤバイんじゃねぇ?とワクワクしながら丹波は堺の肩を叩いた

「堺!こうなったら世良をボ「なぁ、おっさんらさっきからうるせぇんだけど…」

丹波の提案発言は虚しくも誰かの声と重なり消えてしまった

「誰がおっさんだ〜?」

丹波と堺が振り向くと、足を投げたして座る高校生が睨みを効かせていた

「おっさんだろ?つか俺の若松サンと変な野郎の会話が聞こえねぇから静かにしてくれよ」

その高校生は立ち上がるとわざわざ堺の横に座るとコートを食い入るように見つめた

立ち上がった身長が想像してたより大きく、丹波と堺は暫く顔を上に向けていたが、流石に見ず知らずの高校生に悪態をつかれたのが癪に触り隣に座った高校生を睨みつけた

「おい、高校生だろ?ちゃんと口の聞き方ぐらい家で習えよな」

堺は横目で高校生を視界にいれながら言い放った

「はーいー?知らねぇ奴が俺に指図すんなよ……ってかあのチビっこいの俺の若松サンに引っ付きすぎ……」

「チビ?チビってあのさっきから2人でバスケしてる奴の事かな、高校生?」

丹波はすかさず聞き返した

「ああそうだよ、つか俺の名前高校生じゃねぇし…青峰大輝って言うんだけど」

「おおっ!これは良い展開になってきたな〜」

目を爛々と輝かせると丹波は言葉を続けた

「実はねぇ青峰くん、あのチビっこいのはここに居るおっさんの彼氏なんだよねぇ。んでそのチビっこいのと青峰くんの関係は?」

「俺と若松サンの関係は恋人に決まってんだろうが」

「ほうほうなるほどねぇ……」

丹波は席から立つと両手を広げて堺に向けて言った

「さーかーいっ!めちゃくちゃ面白い展開なんだけどギャハー!!!」

ルンルンとステップでもその場で踏みそうな勢いの丹波だったが堺の次の一言で黙ってしまった

「世良あいつ……人の男とるなんて………許せねぇなぁ」

「え?おっさん怒る方向性違くねぇか?」

青峰が横で一層貧乏揺すりを続ける堺に問い掛ける
すると待ってました!と言うように丹波が青峰の横に座りこむ

「青峰くんこの子ツンデレと保護者意識極めちゃってるから恋人に対するヤキモチがちょーっとズレてるのよね」

ギャハーと笑うと、さぁどうしようか?と企みを話すかの様に青峰に話しかけた

「はっはー、おっさんら解ってねぇのな。どうするも何も今すぐコートにいって若松サン捕まえてその場で犯しまくって誰が一番か体に聞くに決まってんだろ?」

丹波と堺の想像を越えた答えに思わず丹波は、え?と疑い堺は顔を真っ赤にした

「おっさんらには刺激が強すぎた?ま、そんな事で俺はコートに行くけどおっさんらは?」

「ハイハーイ行きます行きます!!」

丹波はすぐに頭を切り換え、赤面している堺を引っ張りながら青峰の後についていった

***

「だぁ…何回やっても勝てねぇ…くそー!」

世良は汗で顔に張り付く前髪をあげるとそのまま床に倒れた

「現役が負ける訳ないじゃん、第一体格差だってあんだしさ」

ヒュッとその場からボールを放つと綺麗にリングに入ったボール

「孝輔嫌味だろ!さりげに俺がチビだって言いたいんだろ!」

世良は喚くとバッと立ち上がり床に跳ねたボールを取ろうとした

しかし次の瞬間にあっさりとボールはとられ尚且つ耳元で「クソチビ」とまで言われ肩を押された
無論バランスを崩した世良はまた床に倒れ込んでしまった

「〜〜〜っ!誰だ!」

世良は振り替える様に睨むとそこには、ボールを持ったまま若松を後ろから抱き込む高校生と………

「あっれ……丹波さんと……堺さぁあぁあああん!?」

驚いた世良は条件反射の様に堺の元に駆け寄ると見えない尻尾を振った

「やっほう世良!呑気に浮気だなんて若いねぇ〜」

丹波がポンポンと肩を叩くと世良は声を荒げた

「浮気!?何の事っスか!!」

見に覚えのない事を言われ、ましては大好きな大好きな堺を目の前にして言われたのだ世良は頭に疑問符を浮かべた

「え?だからー青峰くんの彼女さんのえーっとこの子と浮気したんでしょ?」

ニコニコと笑う丹波とは対照的に世良と若松は口をあんぐりと開けた

「いやいや、孝輔とは近所の弟みたいな関係なんス…けどつか今日は、ただ単にバスケをしようとしていただけで…」

罰の悪そうに丹波と堺の顔を交互に見ながら世良は話した

「俺ら邪魔みたいなんで帰るわ〜」

なんとも言えない空気に青峰は若松を抱き抱えその場を去っていった

「ちょ!バカ峰!おろせおろせ!!!!」

「はーいー?ま、後でお仕置きな。いーっぱいアンアン言わせてやっからさ覚悟しろよな」

使われていないトイレに青峰は急ぎ足で向かっていった

「若いねぇ……さ、どうしようか」

丹波は消えていった2人を見つめると世良と堺に顔を向けた

「どうしようも何も丹波の勘違いじゃねぇか…」

「あっれ〜そうだっけ?じゃ、俺帰るね〜」

そう言うと丹波はひらひら〜と手を振りながら体育館を後にした

「ちょっと…丹波さん…」

体育館に残された堺と世良

気まずい雰囲気の中世良は堺の手を両手でぎゅっと握りしめ、うるうるとした瞳で見つめた

「堺さんは俺が浮気したと思いましたか…?」

「馬鹿っ!んな訳ねぇだろが!!」

やっと赤面が収まった顔をまた赤面させ、堺は顔を背ける

「良かったっス〜」

ぎゅうっと人目を気にせずに堺に抱き付いた

「世良!?おまえ……」

離せよ!と堺は言いそうになったがその言葉を飲み込んだ
口ではあんな事を言ったが実際には不安で仕方なかったのだ、だから柄にもなく丹波に頼み込みこんな所まで来たのだ

「……何ですか?堺さん?」

少し体を離し堺の顔を覗きこんだ

「何でもねぇよ馬鹿。」

そう言うと少し小さい世良の肩に頭を乗せた

「あ…!思い出した」

ガバッと顔をあげ、力を込めて世良の肩を掴み堺は叫んだ

「お前はプロのサッカー選手の自覚を持てよ馬鹿!怪我でもしたらどうすんだよ!!!本当お前馬鹿…」

はぁ、とため息をつくと世良の腕を引っ張り歩きだした

「さ…堺さん!?」

「帰えんぞ……………」

「…はいっ!」


施設を出る途中にトイレから聞き覚えのある声の喘ぎ声が聞こえてきたのに、世良は勘づきながらも堺の手をぎゅっと優しく握りしめた











* * *

鳥屋さんに相互記念と新居お祝いという事で贈りつけます!!!
小学生若松ったんと中学生世良が出会った当初同じぐらいの身長な、はず

そして恐ろしいくらいの青峰通常運転っぷりw



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ktkr

親愛なるぱんつまめたさまから頂いたしょうせ、つ  なにこれ萌える
若松さっ、セラサッたんさ、ていうかA O MI NE EEEEEEE
青峰が普通すぎてもう引きました(褒め言葉)なんなの…あと真剣に31歳と青峰の絡みに萌えた…なんなの…
さかいさんはァさかいあささかいおっさんなkんかもうウブだしっはぁあ
10代の方がオッサン共よりよっぽどただれてるのに萌えました。青若はそれでこそ青若。
本当にありがとうございましたーーーー!!!!!!!アップ遅れて申し訳ありませんしたあああ!!!!
すきだ(キリ)


鳥屋